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| パラメディック119>救急救命士の仕事>消防の伝統は誰のために | Last up 2007.1.18 |
救急救命士の仕事消防の伝統は誰のために「消防に入った新しい血」と言うお話で紹介したように、消防の仕事の中で救急業務は医学の影響を多大に受け、日進月歩進歩しています。救急隊員たちはこの流れについていくために必死な思いをしています。この流れを作った大きな要因が救急業務は消防だけのものではなくなってきたと言うこと。救急救命士制度を機会に医学の根拠が強く求められるようになりました。一方、「火消し業務」は相変わらず独占、自ら築き挙げてきた伝統だけになかなか変えることができない部分があります。今回のお話は救急現場からの帰署途上から始まります。 帰署途上の救急車内。 救急隊長のお話の内容です。救急隊に感染防止衣が配置になり救急救命士制度が始まり、医学の根拠の下、救急隊には感染防止の大切さが徹底されるようになりました。そんな中、感染防止が必要なのは救急隊だけではないのではないだろうか、そんな意見が上がりました。救急隊だけで搬出困難な現場には消防隊も出場してくる、救助活動の現場では血の海なんてこともちっとも珍しくありません。そんな中から血だらけの要救助者を救出する救助隊や消防隊、救助活動では救急隊よりももっと感染の危険が高いのではないだろうか?そんな意見の中、救助隊から上がったひとつの意見にこんなのがあったそうです。「感染防止衣はオレンジじゃないから嫌だ」この意見が通ってなのか通らなかったのかは知りませんが、少なくとも今だに感染防止衣を着て活動している救助隊はあまり見受けられません…。 バカげた話のようですが、消防官なら分からないでもない話なのです。救助隊員たちのオレンジにかける誇りというのはかなりのものがあります。あのオレンジに憧れて消防官になった者も多い。実際、災害現場でテキパキと迅速に活躍する救助隊はすごく頼りになるし、同じ消防官から見てもすごくカッコいい!常に厳しい訓練に耐え、そしてまた数多く扱う資機材や救助方法、それもまた先輩たちから受け継いだ伝統なのです。消防の中でも特に厳しく誇り高い男たちの集まる救助隊、特にオレンジたちの伝統は重いのです。でもそうかもしれないけど…、やっぱりおかしいですよね…。「感染防止とオレンジじゃないから嫌だって、そもそも比べる価値があるのでしょうか?」こんなまっとうなことを言ったらみんなきっとドン引きします。実際この時、消防署にこんなことを言う者はいなかったそうです。こう言うところがとっても非常識なんですよね…。 再び帰署途上の救急車内。 この救急隊長の話を物語るように救助活動や救助方法にも感染防止や医学的根拠をもっと取り入れて改革すべきだと言う動きがあるようです。救助隊で活躍するようなモチベーションの高い消防官たちは救急資格を得たり、外傷学のセミナーに参加したりと大変積極的です。そんな中でやはり今の救助方法や活動に疑問を感じる点が見つかるようです。しかしなかなか変わらない。先輩たちの築き上げてきた伝統です、そう簡単には変えられない。伝統を築いてきた人たちには救急の知識なんてないですから…。「全脊柱固定…?救命に直結する処置をしてからの搬送…?それはそうなのかもしれないけど少しでも早く救出するのが一番だろ!」分からない人には分からないのです。5分で救出して下半身不随になる要救助者、10分かかったけど完全に社会復帰する要救助者、どちらを目指すべきか。私たち救急隊にも言えることです。救急救命士しか行えない処置だからこそ処置に固執しがちになることがあります。救急救命士こそができる処置に固執しないで急いで運ぶ、これが傷病者にとってベストであるときだってある。一番大事なこと、私たち消防官は誰のためにいる?救助隊のための救助じゃない、救急隊のための救急じゃない。 私たち消防官は現場で活躍するために訓練を重ね、手技を高め、精進します。その過程で他にはできない技術を身につけます。訓練方法、現場での活動方法、みんなこの積み重ねで作り上げてきた伝統です。お世話になった先輩たちからみっちり仕込まれた伝統、そう簡単に変えられたくない気持ちが芽生えるのも当然でしょう。けどその伝統を守るために一番大事なものを忘れてやしないだろうか?守ってきた伝統は誰のためにあるのか?消防の伝統は誰のために?もちろん要救助者、傷病者、私たちの助けを待っている人たちのためにです。私たち消防官は住民のためにいる。消防の伝統は消防のためにあるんじゃない。 住民のためになら今まで先輩たちが築き上げ守ってきた伝統であっても簡単に捨てる、改める、そんな新しい消防の伝統ができればいいのですが…。 なかなかね…。 この記事へのご意見・ご感想、追加、修正などなどをお寄せください。パラメディック119ブログ版・救急救命士の待機室にコメントを残すことができます。
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