救急救命士の現実 パラメディック119〜すべては救命のために〜
パラメディック119救急救命士の仕事救急隊の食事 Last up 2005.5.19

救急救命士の仕事
救急隊員の食事

 平成17年5月17日、新聞紙面に「救急隊員の外食OK!」なんてタイトルの記事が掲載されました。救急隊員が出動で食事を摂れない時、帰署途上にコンビニエンスストアやファーストフード店に立ち寄り食事を摂れるよう規制を緩和したというものです。今までは救急隊員が町で買い物をしていると住民からの苦情に発展するんじゃないかと自粛していたのです。東京消防庁が全国に先立って行うこの救急隊員の外食、東京都内では救急服でファーストフードに並ぶ救急隊員、コンビニの駐車場に救急車を停めておにぎりとお茶で食事をしている救急隊員の姿を見られるようになるでしょう。言われてみれば見たことないでしょ?

 この規制緩和に踏み切った理由としてこのサイトでも訴えてきている通り、救急隊の出場件数はうなぎ上り。救急隊はGPSで病院からの帰署途上にも現在位置を把握されているので、帰署途上に連続出場する事となり食事が摂れないなんてことが多々あったんです。…多々といいますか東京に限らず横浜や大阪など都心部の救急隊は定時に食事を摂れることの方が少ないんです。昼食を15時以降、夕食を夜中の0時頃に食べることだってしょっちゅうあるんです。

 でね、そういう時には隊長が指令をかける本部に言うんです。
隊長「まだ食事を摂れていません。少しの間、食事を摂らせていただきたいのですが」
本部「…分かりましたが、周辺救急隊も全て出場中です。直近事案、救命事案はそれでも出場かけますからよろしくお願いします」
まぁ、自分の隊が食事を摂れていないということは周辺の救急隊もやっぱり採れていないんですね。気持ちよく、
本部「そうですか。お疲れ様です。では少しの間、指令をかけないようにしますので食事を摂ってください」
って言ってもらえることはほぼありません。中には、
本部「周辺救急隊みんな摂れていませんよ、周辺はみんな出場なんですから!その辺分かってますか?」
なんてカンに触る言い方をしてくるようなのもいるようで、私はそんな隊長と組んだことはないですが、ブチ切れちゃったんですね、
隊長「じゃあアンタは食ったのかよ!?アンタはしっかり食べているんだろ?」
本部「…」
隊長「飯食わないで働けってのかよ!?」
とか何とか言っちゃって本部とケンカをはじめるような隊長もいるようです。やっぱり人間食事を摂らないとイライラしちゃうんですよね。私が組んだことのある隊長は本部とケンカはしませんでしたが、連絡の後、いつも
隊長「なんで飯食うのにこんなに低姿勢にお願いしなきゃいけないんだろうなぁ…。」
って嘆いていました。

 ここをご覧の方の中には、救急隊は緊急時に駆けつける仕事なんだから食事が摂れなくたって働くものだって思う方もいることでしょう。それは消防官になった者ならばみんな分かっています。消防隊だってもちろん火事があれば食事中だってなんだってそれが最優先です。しかし、都心部の救急隊の場合、食事に配意しないと本当に摂れなくなってしまいます。ブチ切れちゃった救急隊長からしてみれば、食事が摂れないイライラもあったでしょうが、自分の大切な隊員たちの健康管理にだって気を使わないといけない。そもそも食事を摂らせないで働かせるなんて人権問題ですよね。119番した方だって食事も摂ってないどうも集中力に欠ける隊員に来てもらうより、食事と休憩をしっかり取った隊員たちに駆けつけてもらった方がいいでしょう。

 出場件数は減らない。ますますの救急需要が見込まれる。住民がそれだけ必要としているのだから救急隊をその分増強すればいい。ところがこの不景気でそれはできない。どこの地方自治体もこのような状況にあるようです。そんな中の苦肉の策がこの救急隊員の外食解禁でしょう。逆に言えば、救急隊は消防署に帰って食事や休憩を摂る時間もなく働かなきゃいけない現状にあるってことなんです。信じられないでしょ?私も
パラ吉「昨日は昼飯抜きだった」「昨日は0時過ぎに夕食を摂った」って言っても
友人「へえ〜?でもなんでそんなに忙しいの?」
なんて感じです。救急隊員は食事も摂れず睡眠ととれずボロボロになって働いています。都心部に勤務する救急隊員は本当に本当に激務と戦っています。

 この救急隊員の仕事では知られざる救急隊員の仕事の裏話を紹介していきます。今の救急隊員たちの立たされている環境はちょっとシャレにならないすさまじい状況にあります。みなさんに知っていただいて、それがひとつのきっかけになって救急隊員たちを取り巻く環境が少しでもよくなればいいのですが。今回のこの外食解禁、理解のない方たちからのクレーム等ですぐにやっぱり自粛なんてことにならないことを切に願うばかりです。人間24時間ずっと集中力を維持してなんて戦えない。ちゃんと食事をしてちゃんと休憩をとっていい仕事ができるんです。救急隊員たちにいい仕事をさせてほしい。すべては救命のために。

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